北海道公立高校入試[数学2016]

何度でも言いますが、過去問は入試直前の力試し用ではないですよ。出題傾向を把握し、要求される力を把握し、それを目指して自分の学力をチューンアップするための素材です。

入試問題を解くと、時間配分の大切さ、単純計算は少なく、思考型が多く出題されること、二次関数や確率は毎年出題されることなどすぐに分かります。入試の傾向を把握すると、学校ワークの解き方も変わってきますね。「この問題は入試タイプだな」と分かるようになります。入試の訓練になるし、もしかしたら同じような問題が出題されるかもしれない。ちなみに2021年度はコロナの影響で北海道公立高校入試は三平方の定理と円周角の定理が外れました。過去問では頻繁に出題されていたところです。これらの定理を使わなくても角度は出せる問題が出題されるので、難易度は別の所で上げてバランスをとってきます。知識が問えないということは当然思考型でせめてきます。一見ゲームのような問題(カレンダーや国旗やトランプ)が増えるでしょう。小学校で学ぶ規則性に関する問題(植木算・方陣残・周期性・ニュートン算・還元算)などをやっておくと役にたつでしょうね。


1.ここは考えなくても解ける問題ばかり。緊張をほぐすための問題と言えるでしょう。

 問1 「(1)~(3)の計算をしなさい。」

単純計算問題。瞬殺です。スパスパ解いていきましょう。ただし、最後に計算ミスがないかを必ず見直してください。皆ができる問題を落とすことほど痛い(不合格が近くなる)ことはありません。このような簡単な問題の1点と難しい問題の1点は同じ1点なのです。せっかくなら簡単な問題の1点を取りましょう。ここで1点を落とすと難しい問題の1点をとらなければならないということになります。すなわちここで落としたら証明問題で絶対に落とせなくなるのです。


 問2 「yはxの一次関数で、そのグラフが(0、3)を通り、傾き2の直線であるとき、この一次関数の式を求めなさい。」

一次関数の式を立て、数字を当てはめるだけ。超基本。

   念のため解説。一次関数だから、まずY=aX+bの式を定立。傾き(a)が2なので、Y=2X+b

となります。そして問題文にあるように(0,3)を通ります。すなわちXが0のときYが3なので切片(b)が3となります。よって、Y=2X+3となります。傾きと切片の意味が分かっていれば瞬殺問題です。あいまいな人は、今すぐに中一の教科書で傾きと切片を確認してください。切片とはグラフとY軸との交点をいいます。傾きとは一次関数のグラフで、xの増加量1に対するyの増加量のことをいいます。この定義は覚えましょう。こういうところがあやふやでなんとなく解くから数学が苦手になるのですよ。


 問3 「図のように、円Oの円周上に3点ABCをとります。角BAC=40度のとき、角xの大きさを求めなさい。」


円周角の定理。1秒かからず解ける。簡単すぎてはげそうですね。ちなみに私も今となってはこの中学生の数学は面白く楽しめるのですが、当時は私も四苦八苦していましたね。大学院を卒業し、中学時代の自分より当然読解力も上がっているので当然、中学時代よりは楽に理解できます。また受験というプレッシャーがないので純粋に数学を楽しめます。自分の中学時代を思い出しながら解説しています。全科目、暗記しようという戦略は間違っていると自分に言いたいです。例えば歴史、暗記しようと読んではいけません。それぞれの事実の意味やつながりを考えながら読んでください。何度も考えると結果的に覚えます。理解のない暗記はゴミです。理解を繰り返すと結果的に覚えてしますのです。何の役にもたちません。


 問4 「右の図のように、1から7までの数字を一つずつ書いた7個のボールがあります。この7個のボールを袋に入れ、袋の中から1個のボールを取り出すとき、そのボールに書かれた数が奇数である確率を求めなさい。」


確率の超基本問題。2秒で解ける問題。奇数が何かという小学生でもわかる問題ですね。

 

 問5 「ある工場で作った製品が9000個ありまさう。この9000個の製品を母集団とする標本調査を行って、不良品の個数を推測します。9000個の製品の中から300個の製品を無作為に抽出して調べたとき、2個が不良品でした。この標本調査の結果から、母集団の傾向として、9000個の製品の中には何個の不良品が含まれていると推測されますか、求めなさい。」


中三の最後に習う標本調査の問題。勉強してない人にとっては、文章の言葉が難しく感じるかも(母集団、無作為に抽出など)。もっとも標本調査を知らなくても解ける。用は割合の計算なので小学生でも解けますね。300個の中に不良品が2個あるとしたら、9000個の中には不良品は何個ですか、ということです。

ちなみに標本調査とは、集団の一部分を調査して全体を推定する方法です。母集団とは、標本調査において、調査の対象となる集団全体のことをいいます。


 問6 「右の図のように、AB=2㎝、BC=3㎝の長方形ABCDがあります。この長方形の対角線BDの長さを求めなさい。」


三平方の定理。基本。細かく解説するとなると、三平方の定理以前に長方形の性質が理解できているか、ということですね。皆意識しないで解いたと思いますが、長方形は❶対辺の長さが等しいこと、❷角はそれぞれ直角となる。よって三平方の定理が使えるのです。証明問題になるとこの思考過程を表現しなければなりません、平行四辺形やひし形、正三角形等の多角形の性質は必ず押さえておいてちょうだい。


2.「(x+3)2乗-2(x+3)-15を因数分解しなさい。」


 問1 因数分解の基本。簡単すぎてプルプル震えます。ちなみに数学を解くとき本問のように共通する文字と数字があったら、一つの文字に置き換えて式をシンプルにすることは必須です。シンプルに考えること。できない人ほど、複雑に考えるのは勉強も仕事も同じですね。皆さんも経験があると思いますが、テスト中、分からない問題があって答えを見たら、なーんだこんなことか、と思うことが多いですよね。そうなんです。簡単なんです。難しく考えているときって間違っていると思ってよいですよ。


 問2「右の図のように、2つの直線ℓmがあり、直線ℓ上に点Aがあります。❶直線m上に中心があり、❷点Aで直線ℓと接する円を、定規とコンパスを使って作図しなさい。ただし、し、作図に用いた線は消さないこと。」 


必ず出題される作図。いまだかつて、難しい作図は出題されたことはありません。本問も簡単な部類です。問題文から❷点Aで直線ℓと接する、❶直線m上に中心がある、と条件が記載してあります。ポイントは問題文をきちんと読み、問題文に❶❷と書き込むこと(問題文の分析です)。まず❷円と接する直線(接線)と円の直径は垂直になるという知識があれば、Aを通る直線ℓに垂直な線を描くことになります。次に❶直線m上に中心があるから❷の直線と直線mとの交点を導きます。その交点が円の中心になります。


 問3 「次のページのヒストグラムは、あるクラスの生徒39人が10点満点のゲームを行った時の得点をまとめたものです。このヒストグラムから、このゲームの得点の中央値を求めなさい。」


毎年出題される代表値。今回は中央値。39人の中央の20人目の点数を答えるだけです。これがもし偶数の40人の中央値だったら20人目と21人目の点数の平均を答えることになるので注意です。すなわち度数の合計が偶数のときは中央が2つあるのでその2つの平均を答えることになるのです。まとめると

度数が偶数の場合 度数を2で割った数とそれに1を加えた数

度数が奇数の場合 度数を2で割った数を四捨五入した数

これが中央となります。ここの値が答えとなります。

ちなみに「ヒストグラム」って言葉は難しいですが、柱状グラフのことです。小学校でも習いましたね。こういう言葉にドキッとしないように普段から勉強を積み重ねることが大切です。勉強は毎日やってればなれます。苦痛ではなくなります。


 問4「右の図は、ある立体の投影図です。❶この投影図が表す立体の名前として、正しいものを、ア~エから一つ選びなさい。❷また、この立体の体積を求めなさい。」

 

超基本的な投影図の問題。突然出題されましたね。まぁ、簡単なところだから、さっと解くところです。立面とは立った面だから横からみたものです。横から見たら立って見えるでしょう。他方、上から見るとべたったしてるので平面図となります。横から見たら三角形で上から見たら円である図形は三角錐ですね。錐の体積を求めるときは三分の一を掛けるのを忘れずに。


3.「かずやさんは、2けたの自然数の性質を調べていたときに、次のように考えました。十の位と一の位の数の和が9になる2けたの自然数は、9の倍数である。」


問1 「かずやさんの考えについて、かずやさんと先生が話し合っています。話し合いの中のアに当てはまる二けたの自然数を、イ~エに当てはまる整数を、それぞれ書きなさい。」


 超基本的な式による証明です。授業で初めて接するくらい、応用のないストレートな問題。ただ注意が必要なのは「整数」「自然数」という概念をきちんと押さえていることです。こういうところがぼんやりだと、ぼんやり何となく解くことになり、数学が苦手な一要因となります。問題文でも整数と自然数をかき分けていますね。

整数とは「0 とそれに 1 ずつ加えていって得られる自然数 (1, 2, 3, 4, …) および 1 ずつ引いていって得られる数 (−1, −2, −3, −4, …) 」をいいます。整ったきれいな数ですね。

自然数とは正の整数のことです。0は自然数ではないけど、整数ということになりますね。ここんとこ注意です。 90は自然数でありかつ9の倍数ですがこの場合一の位はゼロなので一の位は自然数ではなく整数になります。だから問題文で「イ~エに当てはまる整数」と表現しているのです。

また整数ではないのものに、分数や小数があります。


問2 「かずやさんの考えがいつでも成り立つことを説明するとき、オカに当てはまる式をそれぞれ書きなさい


 とても単純な式による証明ですね。ここんとこは来年あたり出題されると思います。考え方を理解しておいてください。ちなみに「百の位と十の位と一の位の数の和が9の倍数になる3桁の自然数は9の倍数になる」というのも考え方を押さえておいてください。当然これと同じ問題は出題されません。しかし考え方を押さえておくと応用がきくのです。


4.「右の図のように、関数Y=ax二乗(aは正の定数)...①のグラフ上に、3点ABCがあります。点Aのx座標を-2、点Bのx座標を1、点Cのx座標を正の数とします。点Oは原点とします。次の問いに答えなさい。」


いつもの放物線です。毎度です。難易度は低いです。見た目にごまかされないことです。というか、数学は見た目、複雑なものをシンプルにする作業するところに楽しさがあるといえますね。絡まった糸をほぐす楽しさです。スッキリしますね。


 問1 「点Aと点Cのy座標が等しいとき、点Cのx座標を求めなさい。」 

 

Y座標が等しいということはY軸に関して線対称ということです。関数を通して中一で習った線対称を理解しているか聞いてます。


 問2 「①について、xの変域が-1≦x≦3のとき、yの変域は0≦x≦3となります。このとき、aの値を求めなさい。」


 Xの変域にマイナスが含まれているので注意。つまりXが-1のときYの値は1aとなり最小値のゼロではないのです。(3.3)を式に代入してaを求めます。問題文にあるようにaは正の定数なので放物線は上向きに開いています。だからxがゼロのときyもゼロとなり最小値となります。これに対しaが負の定数だったら放物線は下向きに開き、xがゼロのとき、yの値は最大となります。図でみると明らかです。

ちなみに一次関数(Y=ax)の場合、変化の割合は一定で、xの係数aに等しいですが、二次関数の場合の変化の割合は一定ではないです。一次関数と異なり直線ではないですからね。


 問3 「a=1とします。x軸上に点Pをとります。三角形OABと三角形OBPの面積が等しくなるとき、点Pの座標を求めなさい。ただし、点Pのx座標は負であるものとします。」


ちょっり思考問題。そんなに難しくないのですが、現実的には上位校の生徒は採れるけど、それ以外はできないのでしょう。三角形の底辺OBが等しいので、高さも等しければ面積が等しくなります。直線OBと平行な直線(点Aを通る直線です)上であれば、高さが等しくなるので三角形OABと面積は等しくなります(平行線と面積の関係という分野です。入試で頻出。要確認)。そこで、まずは直線OBを求めます。Bの座標は(1.1)なので傾きaは1です。原点を通る直線ですのでY=1Xとなります。1は省略してY=Xです。この直線の傾きと等しい点Aを通る直線の式を求めます。問題文にX座標は負と書いてあるので、この直線がX軸の負の点と接するところ(Y軸はゼロ)が答えとなります。平行線と面積の分野は必ず出ますので押さえておいてください。面積を二等分する問題もです。


5.「右の図のように、△ABCの辺AB上に点D、辺AC上に点Eがあり

 AD:DB=AE:EC=1:3とします。次の問いに答えなさい。」


 簡単だけど難しい問題。平行の問題で誰でも同位角や錯角について解いたことはあるでしょう。簡単に解けましたね。でも入試ではここまで単純な問題は出題されません。なぜならみんなが解けると、差がつかなくなり合否の判定ができなくなってしまうからです。ここが学校の定期テストと異なるところです。この問題文には「平行」という文言は一言もありません。


 問1「角ACB=25度のとき、角CEDの大きさを求めなさい。」


この問題文には「平行」という文言は一言もありませんが平行の問題なのです。問題文に「AD:DB=AE:EC=1:3」とあり線分の比が等しいので辺DEと辺BCは平行になるのです。まずここに気がつけるか。ここに気が付けないと、せっかくの同位角や錯角の知識を使うことができません。


 問2 「ED:EB=1:2のとき、△BED∽△CBEを証明しなさい。


せっかく相似の勉強をしてきたのに平行に気付けないと解けない問題です。中途半端な勉強は何の役にも立たないことを教えてくれます(定期テストレベルはできるかも。しかし定期テストを簡単にして本番では点を採れないのでは本当の優しさではありませんね。むしろ、定期テストでは厳しくして本番は易しいくらいが本人のためになります)。これは社会に出たら分かりますが、中途半端はゼロです。中途半端ならむしろ害悪かもしれません。

①本問は三角形と線分の比によりAD:AB=1:4になるのでDE:BC=1:4になります。

ここまで気付けたらもうゴールは近い、ED:EB:BC=1:2:4になりますね。すなわち

EB:BC= 2:4⇒1:2になります。これで対応する2辺の比が等しいです(対応する、というのがポイントです)。

②そして錯角により角BED=角CBEとなり

③2辺の間の角も等しいので相似条件を満たします。本問は平行線と線分の比、三角形と線分の比に気付くことができるかが勝負でした。この気付けるという力は普段からあれやこれや考える習慣がないとつきません。ちょっと難しめの考える問題を解いていると、ピンと来る力がつきます。ちなみに本番であれやこれや考えたことは文章で書くと思考過程で部分点が来る可能性があります。途中まででもいいので書きましょう(証明問題は)。


裁量問題

 問1 「図1のように、半径が3㎝の円の円周を12等分する12個の点があり、そのうちの一つをSとします。点PQは点Sを同時に出発し、点Pは→アの方向へ1秒ごとに円周上の点を1個ずつ、Qは→イの方向へ1秒ごとに円周上の点を2個ずつ移動します。例えば、1秒後の3点SPQのそれぞれの位置は、図2のようになります。次の(1)(2)に答えなさい。


パッと見ゲームのような問題ですね。こういうゲーム系要素のある問題って教科書には載っていないですよね。ということは学校ワークにも載ってないかな。とすると定期試験では出題されないですね。下手すると、今までやったことのないタイプの問題を入試では解くことになりかねない。毎年恒例の入試の感想「いつもと違う」につながります。


 (1)「5秒後に、3点SPQを結んでできる三角形の角SPQの大きさを求めなさい。


 円周角の定理の問題なんですが、普段やっている問題とはちょっと違いますよね。円周角の定理の問題と気付けない人もいると思います。入試では定期試験と違ってこのようなやり方をしてくるのです。なぜかというと、いつもとちょっと違う問題だと暗記では対応できず結果的に考えなければならないからです。この考えることを見たいのです。単なる暗記ロボットはいらないのです。だから来年も見たことのない問題が出ます。


 (2)「❶155秒後に、3点SPQを結んでできる△SPQを書き入れ、点PQをそれぞれ示しなさい。❷また、このときの△SPQの面積を求めなさい。


 まず155秒後の形はきちんと割り算して求めること。ここが失敗すると面積も連動して✖となるので細心の注意が必要。かなりの時間を無駄にする可能性があります。とは言えこの面積を求める問題なんですが、中学生に知識で解けますかね?。この問題を解くには二等辺三角形SPOの面積を求めなければならないのですが、底辺と高さをどうやって導くのでしょう。高校の三角比を使わずに中学生の知識で解くことができる人は教えてほしいです。東京学参の過去問解説を見てもこの点に関して何ら解説がありません。ここの問題でドツボにはまって数学の点数を取れなかった人はどうするのでしょう。受験戦略上、こりゃできないと思った問題はすぐに飛ばして次に行くことです。


 問2 「右の図のように、❶1辺が10㎝の正方形ABCDがあります。❷頂点Bから辺ABを10㎝延長したところに点Eをとり、❸辺AD,線分AE上にそれぞれ点P、点Qを、❹2AP=AQとなるようにとります。❺APの長さをx㎝とし、❻正方形ABCDと直角三角形APQが重なってできる部分の面積をy㎝とします。❼このときのxとyとの関係を表したグラフとして最も適当なものを、ア~オから選びなさい。ただし、点Oは原点とします。


 問題文が長いとお手上げの人が結構いますね。問題文の情報を処理しきれないことが原因です。その場合、問題文を上記のように❶~❼と区切るのです。区切って一つ一つの意味をしっかり理解することです。まとめてぼんやり考えて分かるものではありません。例えばは正方形ってのがポイントです。対辺が平行となります。問題文には一言も無駄がありません。その文言を使うのは意味があるのです。「なぜこの文言を使ったのか」と考えるクセを付けると勉強が楽しくなります。


本問のポイントはQが正方形内にあるときとその外にあるときを場合わけすることです。この場合分けをするという考え方は数学では必須能力です。ちなみに法学でもこの場合分けの思考はとても大切です。要はいろんなパターンについて考える力です。

 ①まず、Qが正方形内にある場合は直角三角形の面積を求めるだけです。

 ②次にQが正方形外にある場合は台形の面積になるので、上底の長さを求めなければなりません。この問題の肝となるところです。ここで平行線と線分の比を使います。この年の問題は平行線と線分の比の連射ですね。まぁそれだけ重要視されているのでしょう。これからも出題可能性がかなり高いのでしっかり理解しておく必要がありますね。考え方として、線分PQが辺BCと接する点をRとし、辺BRの長さをyとします。とすると

2x:(2x-10)=x:yとなります。これを解くと

y=x-5となります。これが台形の上底となります。下底はxで高さは10㎝です。

台形の面積は、{(x-5)+x}×10㎝÷2=10x-25となります。



 問3「図1のように、1辺が10㎝の立方体ABCD-EFGHがあります。辺AD、AE上にそれぞれ点PQを、2AP=AQとなるようにとります。次の(1)(2)に答えなさい。」 


 はい図形の問題。いや~な感じがするところですかねwww。まずは問題文をしっかり読んで、内容を理解することです。数学ではこのことを軽視している人が非常に多いです。まずは問題文をきちんと読んで何を問われているのかを理解する、すなわち読解力必要となります。数学も単純計算以外は読解力が必要となります。数学が苦手な人って実は読解力がないのです。数学が分からないのではないく、数学を理解する前提である読解力がないのです。これは他の科目でもいえます。たとえば社会。同じ教科書を読んでいるだけでも、できる人とできない人がいます。読解力の差です。同じ文字、センテンスを読んでいても、頭の中で考えていることは全くことなります。読解力のない人は文字をなぞっているだけです。意味が分からず勉強は暗記だとか思っています。これに対し、読解力のある人は、文章のつながりや意味を考えながら読んでいます。頭の中で自然とストーリーを組み立てようとします。ここは本当に注意が必要なところです。外から見たら同じような勉強をしているように見えても、頭の中が違うのです。どうやったら見分けられるかというと、例えば「官営八幡製鉄所」の「官営」ってどういうこと?と意味を問いてみればよいです。読解力のない人はお手上げです。読解力のある人はその時代のストーリを考えます。こういうことですので、学校で歴史の年号暗記をテストで出すのはとても危険です。理解してなくても出来てしまうが、入試本番ではできないという状態になります。つまり単純暗記問題では頭を使わないt人でも頭を使う人と同じような点数をとってしまうので、勉強ができると勘違いしてしまうのです。頭を使っているかは証明問題を解かせれば分かります。

問題に戻ります。


(1)「図1の立方体を3点BPQを通る平面で切ります。頂点Aを含む立体の体積が20㎤のときに、APの長さは何㎝になりますか。APの長さをx㎝として方程式をつくり求めなさい。


 単純な三角錐の体積を求める問題です。二次方程式ですね。この問題は落としてはいけないです。なぜなら普通の人は次の(2)が点数を取れないからです。(1)で取って次で落とすのです。落とすにも技が必要なのです。全部は解けません。とるところはとって、捨てるところは捨てる。

ちなみに立方体とは6つの合同な正方形で囲まれた立体です。直方体とは6つの長方形や、長方形と正方形で囲まれた立体のことです。小学校4年生で習います。この辺の理解があやふやだと数学は理解できないです。実は数学の得意不得意って小学校で決まるのです。具体的には小学校3年生の割り算と4年生の展開図、5年生の割合。ここらで決まります。数学が苦手な人はここに戻って学習しないと、中学数学だけ頑張っても無理ゲーです。逆に言えばこの辺が得意だった人は中学数学はそこまで勉強しなくてもできるはずです。


(2)「図2のように、1~9までの数字を1つずつ書いた9個のボールがあります。この9個のボールを袋に入れ、袋の中から1個のボールを取り出し、そのボールに書かれた数をaとします。図3は図1の立方体で、AP=4㎝としたものです。辺BC上に点Rをとり、BRの長さをa㎝とします。図3の立方体を3点PQRを通る平面で切るときの切り口の図形が、五角形となる確率を求めなさい。」


形式的には図形+確率の問題です。まずは五角形を書いてみてください。どんな形ですか。頂点が5個ありますね。だから切り口が5個になれば五角形です。そこで切り口が5個になる場合を考えるのです。

APが4㎝なのでAQは8㎝(問題文に2AP=AQ)となります。ではBRが何㎝のときに五角形となるかという問題です。ボールは1~9の9通りあります。頂点が5個になるのは1~9のうちどの場合ですかということです。4㎝のとき8㎝なので1対2。とすると5㎝のときは10㎝となり切り口はFを通るので切り口は4個で四角形です。とすれば6㎝以上だと切り口は5個となり五角形となりますね。

本問は❶五角形の意味、❷立方体の意味、❸図形の切り口の形(空間把握能力)を問われており、特に❸についてはちょっとした頭の良さも必要となるので難易度は高かった。出題者もこの問題を解けることまでは望んでいないと思います。だから最後に持ってきたのです。中学受験で立体図形の勉強をしてきた人にとっては簡単でしょうが、普通の公立中学で普通に勉強してきた人には難しいです。この問題を見たらすぐに捨てて、最初の簡単な問題でケアレスミスがないか確認する方が、よっぽど合格に近づく時間の使い方、戦略となります。


2016年は裁量問題が難しかったですね。裁量の問1(2)と問3(2)は出来なくても合否に影響はなかったでしょう。ということはそれ以外の基本的な問題で合否が決まったということです。皆ができない難しい問題はできなくてよいのです。だから問題を見て「これはみんなできないだろうな」と判断する力は必要です。この力は普段の勉強と過去問を解くことでつきます。いわゆる捨て問を見抜く力。捨て問にはまってはいけません。これに割く時間は見直しにあてたほうが生産的です。必ずケアレスミスはしています。簡単な問題は絶対おとしてはいけません。

2022 北海道公立高校入試分析チーム

分析を通じて来年の試験を予測 まずは北海道公立高校入試問題 次は国立高等専門学校(こうせん) オンライン家庭教師 北海道大学大学院法学研究科卒

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