北海道公立高校入試[数学2017]

1.「次の問いに答えなさい。」


 やばいくらい簡単なところ。落としたらやばい。


 問1 「(1)~(3)の計算をしなさい。」


 ここは毎年超基礎的な計算問題が出題されるところですね。ここを問いて緊張をほぐしましょう。くれぐれも計算ミスがないように。普段の定期テストでは計算ミスで笑ってすましていますが、本試験は極限の緊張状態なので、普段計算ミスするレベルの人は本番では間違いなく計算ミスします。そして落ちます。これで合否が決まるので進学する高校が変わります。すると人生が変わります。計算ミスは人生を変えるほとの威力があることを知ってください。簡単な問題ゆえに人生を左右する問題です。難しい問題で落としても、痛手は小さいですが、この簡単な問題で落とすと痛い。不合格が一気に近づきます。最後の10分で必ず見直すべき問題です。ちなみに、不合格=不幸ではないです。その時はショックですが、ただ人生の道が自分の希望とは異なっただけで、楽しい人生が待っています。


 問2 「a二乗-5a-1+3(a二乗+2a-4)」


  展開して同類項をまとめるだけ。


 問3 「二次方程式(x-3)(x+8)=0を解きなさい。」


 1秒問題です。符号をミスしないように。


 問4 「右の図のような△ABCがあります。角xの大きさを求めなさい。」


 この問題に至っては1秒かかりません。三角形の内角と外角の関係。ここはなぜ内角の41と62を足したら外角103度と等しくなるのか考えるのが数学的思考です。三角形の残りの角をYとします。とすると

①直線だからX+Y=180度ですね。

また、②三角形の内角の和は41+62+Y=180度ですね。

この連立方程式をとけば三角形の内角の和が外角と等しくなることが分かります。言われるがまま覚えていることを、なぜそう言えるのか考えてみること、ほんとこういうところで、もう埋めることのできないくらい大きな差となっていくのです。学力の底力が上がるのは当然ですが、人生が変わってきます。

ちなみに△の内角の和は180度ですね。そして直線も180度ですね。とすれば△の3つの角を並べると直線になるのです。不思議ちゃんです。


 問5「下の表は、ある一次関数について、xの値とyの値の関係を示したものです。表の□に当てはまる数を書きなさい。」 


 一次関数ときたらY=aX+b、Xが0のときのYが切片bとなります。ですので、この表でまず着目すべき数字はxが0のときのyの値の欄です。bをなぜ切片というのだろう、と思ったらすぐにネットで調べることですね。疑問点を放置するか調べるか、この違い、人生に影響しますね。


 問6 「次のページの図のように、三角柱Pと三角錐Qがあります。Pの体積はQの体積の何倍ですか、求めなさい。」


 これは数学的センスが判明する問題。PとQの体積を求めて割れば答えは出ることはでますが、思考型の勉強をしてきた人は底辺が合同の三角形であることに気が付いたでしょう。そうすれば底辺の面積をXとでも置いて計算すれば、10秒もあれば解ける問題なのです。計算でも図形でもまずは共通する部分がないか確認すること。共通点が問題を解く切り口になります。


2.「次の問題を考えます。」


 問1「いちごジャムを作るのに、いちご500gに対して砂糖200gの割合で混ぜようと思いますいちごを820g使うとしたら、砂糖を何g混ぜればよいですか。混ぜる砂糖の重さを次のように求めるとき、□に当てはまる比例式を書きなさい。またアに共通して当てはまる数を書きなさい。」


 てもシンプルな割合の問題。小学5年生で習う問題です。たまたま昨日小学生の割合の問題をやりました。こちらは方程式を使えないので線分図で頭を悩ませながら格闘しました。ぶっちゃけ百分率を使う小学生の問題のほうがはるかに難しいですね。本問は5:2、それだけ。砂糖をXにして外項内項です。


 問2「右の図の四角形ABCDにおいて❶辺ABと辺BCが重なるように折ったときにできる折り目の線と❷辺ADとの交点をPとします。点Pを定規とコンパスを使って作図しなさい。ただし、点を示す記号Pを書き入れ、作図に用いた線は消さないこと。」 


 簡単な作図です。まずは問題文を正確かつ丁寧に読む、そして理解すること。❶ABとBCが重なるように折ったときにできる折り目=角ABCの二等分線、ということを読み取らなければなりません。読解力の問題です。❷そして二等分線とADの交点をPとするのです。折り目が二等分線ということに直結しなかった人は普段から問題文を正確に読むことを心がけましょう。かなり危険な状態です。前にも書きましたが、問題の文章を理解できずに問題を解けない人が大半です。数学ではなく、読解力がないのです。

ちなみに、作図は毎年必ず出題されます。作図のパターンは、①∠の二等分線と②垂線③垂直二等分線だけです。限られていますので、今、参考書なり問題集なり、作図の分野を開き全問解きましょう。それで本番で点がとれます。


 問3 「右の表は、A中学校の2年生男子40人の握力を度数分布表にまとめたものです。30㎏以上30㎏未満の階級相対度数を求めなさい。」

相対度数って知ってる?という問題です。相対度数は資料の整理という単元で教科書の後ろの方に掲載されており学校でもさらっと習っておしまいの所ですが、入試には必ず出題されるところです。なぜなら資料の整理の単元は社会に出て必ず必要な知識だからです。相対度数は割合の問題だから割り算ができますか?ということです。小学校低学年の知識が要求されます。グラフでドキッとする人も多いと思いますが、ここは勉強するととても簡単な分野なので必ず復習してください。

 問4 「図1のように、学校から図書館までの道があります。まおさんは、徒歩で、この道を通って学校から図書館に向かいました。みかさんは、まおさんが出発したあと、自転車で同じ道を通って学校から図書館に向かいました。まおさんは、出発してから6分後にp地点でみかさんに追い越され、みかさんより1分遅く図書館につきました。ただし、学校から図書館までの道のりは800Mとし、二人はそれぞれ一定の速さで学校から図書館まで進んだものとします。

図2は、まおさんが学校を出発してからの時間をx分二人が学校から図書館まで進んだ道のりyMとして、二人の進んだ様子を表したグラフです。

このグラフから読み取れることを、次のように説明するとき、ア~ウに当てはまる数を、それぞれ書きなさい。」

単純なグラフの問題です。グラフから何が読み取ることができるか、ということですね。この情報読み取り作業って数学の面白さですね。国語も似たようなもんです。その情報から何が分かるか、なんだかスパイみたいで面白いです。もし国語だったら真央さんと美香さんの関係が気になりますね。姉妹ですかね、友達ですかね。学校には図書室があるのになぜわざわざ図書館に行くのでしょう。なぜ二人は別々に行くのでしょう。P地点で二人はどんな会話をしたのでしょう。数学でも具体的に考えてみると面白いですよ。グラフを読むときはX軸Y軸が何を現しているのかをまず確認することです。時間なのか距離なのか。

わたしだったら、このグラフだけ載せて、2人の行動を文章で書かせる問題にします。グラフからストーリーを読み取れるかということが問えます。本問は問題文の説明が長いだけで問題自体は小学生でも解けるレベルです。

3.「右の図のように、袋の中に2から6までの数字を1つずつ書いた5枚のカードがあります。大助さんたちは、このカードを使って、確率について考えています。次の問いに答えなさい。」

確率の問題。毎年平易な問題が出題されます。注意点は問1はカードをもとにもどしているのですが、問2はもとにもどしていないという点です。取り出し方が全部で何通りあるかが異なってきます。確率の問題ではここんところは気を付けてください。このような問題文のポイントは必ず線を引いて目立つようにすることです。また、本問では1はないですね。サイコロとは違うので早とちりしないように。

問1では積、問2では和という違いがありますね。確率を通して偶数奇数という整数の性質の理解を問うています。問2で奇数+奇数=偶数であることには注意が必要ですね。1+1=2ですもんね。

4.「右の図のように、Y=ax2乗(aは正の定数)...①のグラフ上に、2点ABがあります。点Aのx座標を-2、点Bのx座標を3とします。点Oは原点とします。次の問いに答えなさい。」

毎度の二次関数です。過去問を普段からやっている人にとっては出題されることが予め分かっているので気合を入れて学習したところだと思います。ちなみに二次関数(中3)を理解するには前提として一次関数(中2)の知識が必要です。一次関数を理解するには前提として比例(中1)の知識が必要です。比例を理解するには前提として掛け算割り算等(小学校)の知識が必要です。数学が積み重ねの学問とはこういうことです。ぶっちゃけた話、小学生の頃の理解度でその後の中高大まで決まります。小学校の時に優秀な子はそのまま優秀でいるパターンが多いのです。もちろんそうでない子もいますが、非常にもったいないですね。小学生のときにできるというのはその子のポテンシャルの高さをあらわしているのです。ポテンシャルが高い子が謙虚に勉強をし続ければそのまま伸び続けるし、逆に調子に乗って勉強をやめれば普通に落ちていきます。

 問1「点Aのy座標が16のとき、aの値を求めなさい。」 

 問題文にX座標は-2とあるのでY座標は4aとなります。Y座標が16なら4a=16という式を立ててaの値を求めるだけ。

 問2 「a=2とします。①について、xの値が1から3まで増加するときの変化の割合を求めなさい。」

 変化の割合です。関数を学習するとき最初に習うところです。簡単です。特に注意点はないですね。Xが1から3まで増加するなら、式に当てはめるとYは2から18まで増加しますね。とするとXは2増えてYは16増えております。この変化の割合はどんなもんですかというのが問題です。Yの増加量÷Xの増加量が公式です。

 問3 「点Aとy軸について対称な点をCとします。線分ABとy軸との交点をDとします。△BCDの面積が10のとき、aの値を求めなさい。」

ここは少し難しい。上位校合格者とそれ以外で分かれるところ。上位校はとってくるでしょう。三角形の面積なのに底辺と高さがどれなのか分からない。考え方は小学校で習ったいびつな形の図形の面積の求め方と同じです。本問でいうなら、三角形BCDの面積は三角形ACBから三角形ACDを引けばいいのです。小学校の頃、きちんと勉強してこの思考ができる人には簡単でしたね。ちなみに割合で解く方法もあるのですが、このやり方が応用がきくので良い思います。数学の解法は一つではないところが面白いところですね。ちなみにCの座標はAとY軸について対称なので(2.4a)となります。北海道入試は対称の考えが好きですよね。中一で学ぶところです。また問われるのできちんと理解しておきましょう。

5.「下の図のように、頂点Aが共通な2つの△ABCと△ADEがあり、点CADは一直線上にあります。❶AB=AC ❷AD=AE ❸角ACB=角ADEとします。次の問いに答えなさい。」

 相似と合同の問題 難易度は低いです。ここは落としたくない。合否の明暗が分かれる問題ですね。

 問1「BC=4㎝、CD=14㎝ DE=3㎝のとき、辺ACの長さを求めなさい。」 

 ここは相似の問題。相似と気付けなくても、なんとなく割合で答えを出した人もいると思います。その何となくを数字で説明するのが数学です。

数学というのは問題文の事実からどれだけ情報を引き出すことができるかがポイントです。❶AB=ACなので三角形ABCは二等辺三角形であり底角BCは等しくなります。また❷AD=AEなのでここも同様に底角が等しくなります。そして❸角ACB=角ADEとあるのでこの二つの三角形は底角が等しく、相似の図形となります(2角が等しい)。相似なので辺の長さは割合で求めますね。割合は小学校の知識です。二つの三角形は3:4の大きさなので14㎝を3:4の大きさに分けるだけです。

 問2 「BD=CEを証明しなさい。」

 ここは合同の問題。

三角形の辺BD=CEを証明するということは、要するにBDとCEを辺に持つ三角形の合同の証明です。合同だから対応する辺の長さも等しいということです。問題文ではわざわざ三角形の合同を証明せよなんて言ってくれないので注意です。学校の定期試験と違うところです。本問では三角形BDAと三角形CEAの合同の証明であることに気付くことが最大のポイントですね。そして問題文から分かる条件は図にはっきり書き込むことです。考えなくても見て分かる状態にすることです。そうすれば、二つの辺は等しいことは分かるので残るはその間の角が等しいことを証明するだけです。証明の問題でのポイントは、思考過程をきちんと書くことです。たとえ最後まで分からなくても途中まででも書くことです。本問でいえば、二つの辺が等しいことは問題文から引っ張ってこれるのでだれでも分かります。それを書くだけで部分点がきます。合同条件の2条件をクリアしているので部分点でも三分の一はとれることになります。間の角が等しいことは問1で底角が等しい相似の二等辺三角形であることは証明できているので残りの一つの角も等しいです。


学校裁量問題

問1 「xは自然数とします。1辺の長さがx㎝の正四面体について、各辺をx等分する点とすべての頂点に●をつけることとします。例えば、1辺の長さが2㎝の正四面体のときは、右の図のように●が10個つきます。次の(1)(2)に答えなさい。」

 (1)1辺の長さが3㎝の正四面体のときにつく●印の個数を求めなさい。

 (2)1辺の長さがx㎝のときにつく●印の個数をy個とするとき、yをxの式で表しなさい。

ここって(1)(2)を分ける意味が分からない。そもそも(1)は(2)の式を定立して解くものだから。ポイントは正四面体の辺と頂点の数を確認すること(もちろん図に点を書いていって数える方法もありますが、数学の意図するところではないですね。そういう意味で(2)で式を定立させているのでしょうかね。)。正四面体の辺は6、頂点は4。

頂点の点の●の数は不変で4つ。よって辺の数6と●の関係を考えるだけです。ここは小学生の頃、植木算を勉強していた人にとっては馴染みのある問題ですね。ほんと小学生で学ぶ思考方法って数学ではずーっと使うんですよね。高校生になっても。大学生になっても。社会人になっても。だから小学生の参考書を手もとに置いておくことは本当におすすめします。ちなみに私は「自由自在」(高学年)を置いています。正直いって、公立高校入試より頭を使う問題が多いです。面白いですよ。

問2「1辺の長さがa㎝とb㎝の2つの正三角形があります。この2つの正三角形の面積の差を49√3/4とします。このときのaとbの値を、次のように求めるとき、アイに当てはまる数を、□には解答の続きを、それぞれ書き入れて、解答を完成させなさい。ただし、abは自然数とし、a>bとします。」 

三平方の定理、入試では当たり前のごとく出題されるところですね(もっとも2021はコロナの影響もあり試験範囲から外れる模様)。正三角形を半分にした直角三角形の三角比1:2:√3を覚えている人いるでしょう。高さの比は√3です。あと注意すべき点は問題文の最後に「ただしabは自然数、a>b」とあります。問題文の但し書きは要注意です。なぜならここをきちんと理解していないと正確な答えが導けないからです。読み飛ばしてはいけません。自然数って説明できますか?何となくではだめです。自然数は正の整数です(だからゼロは含まない)。整数って説明できますか(ゼロを含む)。数学はこういうところをきちんと教科書で確認して理解し言葉で説明できるようにしましょう。そうすれば明るい未来が待っています。逆にそうしないと苦難の道です。次にa>bです。これを頭に入れとかないと答えを間違えます。試験は時間が短いので問題文が長いと焦るでしょうが、まずはじっくり問題文を読んで理解すること。いきなり解こうとする人がいますが、間違います。全力で問題文を理解すること。ここに時間を使うのです。


問3「右の図のように、線分を直径とする半円の弧A上に点Cがあります。線分AB上の中点を点Oとします。次の(1)~(3)に答えなさい。」

(1)「AB=ACとします。△ABCを、線分ABを軸として1回転させてできる立体をP、半円を、線分ABを軸として1回転させてできる立体をQとします。立体Pの体積は、立体Qの体積の何倍ですか、求めなさい。」

2個の三角錐と球の体積を求めるだけです。球の体積の公式があやふやで思い出せなかった人もいたのではないでしょうか。こういう記憶が必要なのにあやふやなところは、試験前に確認する用のノートを作ってメモしておくべきです。さもないと同じ失敗を繰り返します。あと注意すべきはQの体積の何倍かであってPの体積の何倍かではないということです。ここは小学生のとき割合をきちんと勉強していない人はあやふやだと思いますので、小学生の参考書で復習しましょう(小学校高学年の参考書は必ず用意しておくこと)。どっちが割る数でどっちが割られる数なのかを明確にしなければなりません。

(2)「線分ACが線分ABより1㎝短く、線分BCが線分ABより2㎝短いとき、線分ABの長さは何㎝になりますか。線分ABの長さをx㎝として方程式をつくり、求めなさい。」

ここは三平方の定理です。直径に対する円周角は90度だからです。この定理って問題にしやすいんですよね。ところが2021年は範囲から除外されておりどのような問題でせめてくるんだろう。平行の同位角、錯角当たりは出題が容易に想像できるので、しっかり理解しておくべきですね。

(3)「線分ABを4㎝とします。点Cは」、弧AB上を点Aから点Bまで移動するものとします。角ABCの二等分線と角BACの二等分線との交点をDとするとき、点Dが描いてできる線の長さを求めなさい。ただし、点Cが点Aの位置にあるとき、点Dは点Aの位置にあり、点Cが点Bの位置にあるとき、点Dは点Bの位置にあるものとします。また円周率はπを用いなさい。」

ここ数年で最も難しいところではないでしょうか。この問題を一番最後に持ってきたのはやさしさですね。時間がなくてこの問題に手が回らなかった人は結果的にラッキーでした。この問題は時間がかかります。家でこの問題を楽しむ分には良いでしょうが、限られた時間の中で解ける人はほんと上位数㌫の人です。受験戦略上この問題は捨てて余った時間を見直しに充てるのが正しい時間の使い方です。一応解説しますね。いろんな解き方があるでしょう。なかなか分かりやすく解説したものは少ないですね。私の解き方は円に内接するABを一辺(4㎝)とする正方形ABCDを作りました。対角線の交点をZとします。これは円の中心にもなります。Dが描く線は扇形AZBの弧の長さということになります。対角線BCの長さは三平方の定理により4√2ですので、ZBの長さは2√2になります。これが円の半径になります。角AZBは正方形の対角線の交点なので90度。以上により半径2√2と90度どいう角度がでたので扇形の弧の長さの公式に当てはめるだけです。さてこの問題が本番で解けた人、何人いるのでしょう。数学が超得意な人で時間掛けずに解ける人以外は捨てるべき問題。なぜこのような問題を出題したのでしょうか。天才を発掘したかったのでしょうか。





2022 北海道公立高校入試分析チーム

分析を通じて来年の試験を予測 まずは北海道公立高校入試問題 次は国立高等専門学校(こうせん) オンライン家庭教師 北海道大学大学院法学研究科卒

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