北海道公立高校入試[数学2018]

1.「次の問いに答えなさい。」

ここは簡単に解けるところです。簡単かつ頭を使わない問題です。サクッと解いて緊張をほぐしましょう。

 問1「(1)~(3)の計算をしなさい」 

 単純すぎる計算問題。計算ミスだけには注意。

 問2 「a=-3のとき、2a二乗の値を求めなさい。」

 あまりにも単純すぎる、0,1秒で解く。

 問3 「右の図のような関数Y=ax+bのグラフがあります。点Oは原点とします。ab

の値を求めなさい。」

 一次関数のはじめの一歩。座標の(1.1)(2.3)を式に当てはめるだけの話。連立方程式です。ちなみにbは切片(直線がY軸と接する点)であり、-1であることは見たら分かりますね。そうすると本問は実はaを求めるだけです。

 問4「連立方程式を解きなさい。①X+Y=7 ②3X-Y=-3」

 連立方程式。人をバカにしているのかと言いたいくらい簡単な問題が続く。裁量問題はそこそこ難しいので、生徒の学力の二分化に対応した問題なのでしょう。できる子用の問題とできない子用の問題ですね。ただ誰もができる問題での計算ミスはとても痛い。本当に不合格に近づきます。簡単な問題で一問ミスったら、難しい問題で一問取らなければならないことになります。

 問5 「右の図のように、AC=4㎝ Bc=5㎝ 角 ACB=90°の直角三角形ABCがあります。辺ABの長さを求めなさい。」

三平方の定理。これも一瞬で解けるところ。1.の問題は頭は使わない問題ばかりです。知っているかどうか。それだけ。緊張している本番では41が因数分解できるか無駄に時間を使いそうですね。

 問6 「右の図のように、半径が2㎝の球があります。この球の表面積を求めなさい。ただし、円周率はπを用いなさい。」

わざわざ図で説明しなくても分かる問題。過保護ですね。体積ではなく表面積であることに注意。単位も㎠です。円の面積はπ×r2乗ですよね。球の表面積はそれに4を掛けるだけです。球の体積となると公式に分数が出てきますね。

 ❶円の面積と周の長さ ❷おうぎ形の面積と弧の長さ ❸球の表面積と体積 の公式をまとめましょう。ベースは❶の円です。

2.「次の問いに答えなさい。」

 ここは簡単だけどほんの少しだけ頭を使うところです。

 問1「x二乗-4x-12を因数分解しなさい。」  

  単純な因数分解。足して真ん中、掛けて端です。

 問2 「二つのさいころABを同時に投げて、Aのさいころが出た目の数から、Bのさいころが出た目の数を引くとき、引いた値が2以下の自然数となる確率を次のように求めます。ア~ウに当てはまる値を、それぞれ書きなさい。」

簡単な確率の問題。「自然数」は何かきちんと説明できますか。中一の最初にならうところです。こういう基礎的な理解がぼんやりしているから数学が分からなくなるのです。教科書で確認して理解したら覚えてください。2以下の自然数(整数ではない)となる確率を求める問題で文章で考え方が書いてあるので空欄を埋めるだけです。差が2となる場合と差が1となる場合を分けて考えており数学の分析的思考ですね。数学はこのように分けて丁寧に考えることが大切なのです。

 問3 「右の図のように、円Oと線分ABがあります。❶円Oの円周上に点Pをとり、❷ABPの面積が最も小さくなるようにします。点Pを定規とコンパスを使って作図しなさい。ただし、点を示す記号Pを書き入れ、作図に用いた線は消さないこと。」

 簡単な作図。毎年出題されます。毎年、角の二等分線か垂線を書かせるかのどっちかですね。本問は垂線です。点Oら辺ABに垂線を引くだけの問題なのですが、問題文を理解できないと答えられませんよね。まずは問題文を丁寧に正確に読んで、何を要求されているのかを確実に理解することです。ま❶点Pは円周上になければなりません。そして❷点Pは三角形ABPの面積がもっとも小さくなるところなので円周上の点で辺ABにもっとも近いところとなります。これは点Oから辺ABに向かって垂線を引き、その線と円周との交点となりますね。

このように作図は毎年単純な問題ばかりでしたが、2020年にほんの少し難易度が上がりました。分度器を使わずに30度の角度を作図するものです。30度は60度の半分なので正三角形を書いて、その角の二等分線が30度となりますね。45度の作図だと垂直を書いてその二等分線となりますね。来年このような感じで問われると思います。

 問4 「右の図のように、❶AD=18㎝の長方形ABCD、❷線分BEを直径とする半円、❸おうぎ形CEFがあります。ⅰ)点EはBC上に、ⅱ)点FはCD上にあります。ⅲ)半円はADに接しています。ⅳ)DF=3㎝のとき、半円の半径は何㎝ですか。半円の半径をx㎝として方程式を作り求めなさい。」

図形と文章で一見難しそうだが、実は簡単な問題の典型。普段からきっちり文章を読むこと。読み飛ばさないこと。問題文につらつらとたくさん文章が書いてありますが、その情報はすべて図に書いてあります。普通は自分で書き込むと思うのですが、過保護ですね。これなら文章を読まずとも図を見るだけで問題を解けそうですが、まぁ一応読みましょう。本問のポイントは扇形の半径CF=CEをXを使って表すことです。

3.「右の表は、北海道の農家Aと農家Bがそれぞれ収穫したトウモロコシの中から、健太さんたちが無造作に120本ずつ選んでその重さを調べ、度数分布表にまとめたものです。次の問いに答えなさい。」

 度数分布表と代表値の問題。毎年必ず出題されます。2020年度は裁量問題でも出題されました。グラフや表で数字を見て傾向を把握することの重要性が世の中で必須能力となっているので当然これからも出題されます。今までが簡単すぎたので難易度が上昇する可能性もあります。ここはしっかり学習しましょう。教科書の後ろの方にあるのでなぜか勉強も軽くなっている人は注意です。

 問1「農家Aの380g以上400g未満の階級の相対度数を求めなさい。」

 解法のポイントは度数とは何か、相対度数とは何か、代表値とは何かをきちんと理解していることです。代表値には3つありますよね、平均値・最頻値・中央値です。

相対度数とは要は割合です。小学校の頃に習いましたね。農家Aの120本が元となる量です。これに対し、380g以上400g未満の階級の18本(比較する量)の割合を求めよということと同じです。小学校の頃に習った、比較する量÷元となる量です。

 問2「健太さんたちは、農家Aと農家Bで収穫したトウモロコシについて、表を見て話し合っています~略」

優花さんは一番重い階級の個数だけを比較しています。これに対してたっちゃんは全体を見て判断しようよと言っています。それなら最頻値で比較するとどうでしょう。農家Aの最頻値は階級380~の18個です。農家Bは階級360~の24個です。これだと農家Aの方が重いので答えとはならないです。そこで中央値を考えます。注意すべきは中央値を取る場合、度数の合計が偶数のときと奇数のときでは真ん中が異なるので注意です。本問は度数の合計が120本という偶数なので真ん中が二つある(60と61)のでその平均(60,5)をとります。60,5本目が小さい階級から数えてどの階級に属するのかを見るのです。


4.「あとの図のように、関数y=ax二乗(aは正の定数)①のグラフ上に2点ABがあります。点Aのx座標を-2、点Bのx座標を4とします。点Oは原点とします。次の問いに答えなさい。」

二次関数は当然毎年出題されます。数学は①計算、②関数、③図形、④確率統計で構成されています。入試問題は数学の理解を問うためこの4つからまんべんなく出題されます。そして②の関数は比例、一次関数、二次関数があるのですが、二次関数を問うことで比例と一次関数の理解も一気に判明します。だから毎年二次関数が出題されるのです。とはいえ、北海道入試の二次関数は比較的容易です。特に今年は簡単でした。関数を理解するためには比例から学ばなくてはなりません。

 問1「、a=2とします。①についてxの変域が-2≦x≦4のとき、yの変域を求めなさい。」 

 単純な変域。xの変域が-2以上なので0が含まれることだけ注意。xが0のときyの値は最小値の0となります。

 問2「2点ABを通る直線の傾きが1となるときaの値を求めなさい。」 

 一次関数の傾き。傾きの求め方はYの増加量/Xの増加量です。

 問3「a=1とします。点BとY座標が等しいy軸上の点をCとします。①のグラフ上に点Pをとり、点PのX座標をtとします。△BCPの面積が14となるとき、tの値を求めなさい。ただし、-2≦t≦4とします。」 

グラフから座標を読み、三角形の面積を利用して高さを高さを求める問題。問題文の但し書きには注意。-3は答えにならないということ、これだけに注意です。

   5.「下の図のように、❶線分ABを直径とする半円があり、❷線分ABの中点をOとします。❸点Cを弧AB上の点とし、❹線分BC上に点Dをとります。❺線分ADと線分OCとの交点をEとします。次の問いに答えなさい。」

ここ数年でかなり良問の部類に入る問題。問題文は上記のように5つの情報に分けることができます。まずはこれをきちんと理解することです。❶❸から円周角の定理より90度がピンときます。❷から中点連結定理がピンときます。ピンとこない場合、間違いなく勉強が足りていませんし、ピンとこないなら問題は解けません。数学が苦手な人って間違いなく勉強量が足りていません。

 問1 「BD=DC、OD=2㎝のとき、線分ACの長さを求めなさい。」

 ❷とBD=DCから中点連結定理に気付けるかが勝負

 問2 「角AOCの二等分線と線分ADとの交点をFとします。このとき△CDEと△OFEを証明しなさい。」

シンプルかつ超良問ですね。これがすらっと解けた人はかなりセンスあり。これ一問で①円周角②対頂角③同位角④錯角⑤相似⑥平行線の性質の理解が分かります。そして本問のポイントは中心角と円周角の関係に気付けるかで決まりますね。そこから平行を導くこと(同位角が等しいから平行となる)、その結果、錯角が等しいことが分かります。


裁量問題

 問1「ある10階建てのビルに3台のエレベーターABCがあり、それぞれを上昇、下降、停止させながら点検を行います。次の(1)(2)に答えなさい。」 

まるでクイズのような問題。学校の授業でやらないような問題。このようなクイズ的問題は小学生の中学受験用参考書を使うとたくさん掲載されています。頭を使う訓練になるのでお勧めです。

 (1)ここは絵を書いて具体的に考えなければ混乱します。頭の中でぼんやり考えてできるのは天才だけです。あなたは天才ではないのできちんと絵を書いて確かめながら解いてください。n階(Uターンするところ)は一回しか止まらないことと、上昇する階の数が例えば5階だと4階分だけであることがポイントとなります。また時間が問われているので答えにはきちんと(秒)をつけましょう。

 (2)ここも絵にかいて考えることです。10階まで上昇するということは上昇するのは9階分です。ここんとこ当たり前だけどミスりがちです。おそらく正答率はかなり低かったと思います。この問題っておそらく本番ではまり込んでしまう人が続出したのではないかと思います。あーだこーだ考えてここで時間切れのパターン。怖いというか腹立たしいというか。だとしたらもったいない、この問題のあとに2問簡単な問題があります。それを解かずに時間切れになった人で不合格になった人もいるでしょう。3分考えて答えがでないなら、次に進むことです。ドツボにはまってはいけません。とにかく時間内に最後の問題まで行くこと。そのためには最大でも3分以上そこにとどまってはいけません。このようなゲーム性の高いクイズ問題はドツボにはまる危険性も高いので本当に注意が必要です。

 問2 「右の図のように、❶関数y=x...①のグラフがあります。❷①のグラフ上に点A(4,4)をとります。❸点Bの座標を(0,5)点とし、❹線分OA上に点Pをとり、❺直線BP上に(△OABと△OAQの面積比が5:2となるように)点Qをとります。ただし、❻点QのY座標は、点PのY座標より小さいものとします。❼点Oは原点とします。次の(1)(2)に答えなさい。」

関数を利用した図形の問題。やたらと情報が多くていやになる人も多いでしょう。少なくとも❼つの情報があります。❺には面積比の条件も入っています。このような情報が多い問題の場合、上記のように❶~と番号をふって、じっくりとその意味を理解してください。流し読みしてはいけません、なぜなら、このような問題は情報を理解し処理する能力を問われているからです。情報処理する力を付けてこなかった人は問題を見た瞬間、捨てると思います。これは問題文の長い問題を解いて訓練が必要です。

 (1)「点Pが点Oの位置にあるとき、点Qの座標を求めなさい。」

 問題文より直線BP上にQがあるのでPが点OにあるならQはY軸上にあることになります。これは問題文を丁寧に読めば分かることですが、ざっと読むだけではわかりません。数学はまずは問題文を完全に理解するようにきちんと読み込むことです。こっちに全力をかかげます。そうすれば答えは近くなります。二つの三角形の面積比は5:2です。そして二つの三角形は高さがAで共通するので底辺の長さつまりY座標で面積比が決まります。Bは5ですのでQは-2であれば5:2になりますね。実は瞬殺の問題でした。

 (2)「点Pが線分OAを点OからAまで動くとき、線分PQが動いてできる図形の面積を求めなさい。」

 数学的センスを問われるという意味では難しい部類に入るのかもしれませんが、おそらく上位校合格者はできたと思います(たとえここでミスっても他の科目でカバーしていると思われます。受験戦略的には、このような難しい問題でミスっても痛くないように、簡単な問題では絶対にケアレスミスをしてはいけません)。二つの三角形の比は5:2を保ったままQがAまで移動します。とすると二つの三角形は底辺OAを共有することになります。(1)で出たとおりY軸-2を通り辺OAと平行な線上だと5:2を保つことになります。(0.-2)の座標をGとするとBO:OGは5:2なので小さい三角形と大きい三角形の比は5:7になります。二つの三角形は相似なので面積比は25:49になりますね。面積比は相似比の2乗になることがポイントです。そして大きい面積から小さい面積を引けば答えがでます。

 問3「図1のように1辺の長さが4㎝の正方形ABCDを底面とし、高さが2√2の正四角錐OABCDがあります。次の(1)(2)に答えなさい。」

 (1)「辺OBの長さを求めなさい。」

北海道が大好きな三角比ですね。三角比を記憶しておけば三平方の定理でわざわざ計算しなくてもできます。直角二等辺三角形の比は1:1:√2です。この比を当てはめれば答えはでます。北海道ではこの三角比が頻出なのですが、2021年度はコロナの影響で出題範囲が狭くなり三平方の定理が出題されないことから、この三角比も出題されないですね。おそらく整数の応用や合同の証明あたりの難易度が増すような気がしますね。+ゲームのような思考力を問う問題が出ます(過去のエレベーター問題や9つの升問題)

 (2)「図2は、図1の正四角錐OABCDを△OBCが平面P上にくるようにしたものです。点Aから平面Pに垂線をひき、平面Pとの交点をHとします。線分HAの長さを求めなさい。」

これもセンスが問われる問題ですね。普段から公式を当てはめればすぐに解けるような問題だけでなく、このような数学的センスを問われるような問題をやっていないと、本番でこのような問題は解けません。ちなみにこのような問題って、中学受験の問題に多いです。要するに小学生が使う参考書を解くと良いです。思考の訓練になります。その思考こそ数学的思考なのです。この思考ができていれば本問は実は簡単なのです。線分AHとはすなわち正四角錐の体積の半分である三角錐BCOAの高さを求めなければならないのです。よって、まずは正四角錐の体積を求めてそれを2で割ります。そうすれば三角錐BCOAの体積が出ますので、あとはその高さを求めるだけです。この考え方、これは普段ひたすら計算問題を繰り返す学習をしていてもできません。数学の勉強の仕方には注意が必要です。数学に自信がない人は小学生の参考書をやってみてください。楽しいし、いかに小学校レベルの知識が自分にはないかが分かります。そこが苦手な原因なのです。

2022 北海道公立高校入試分析チーム

分析を通じて来年の試験を予測 まずは北海道公立高校入試問題 次は国立高等専門学校(こうせん) オンライン家庭教師 北海道大学大学院法学研究科卒

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