北海道公立高校入試[数学2021] 最新版

【講評】

これからは、入試では思考型問題が重視される、と聞いたことがあると思います。

じゃあ、思考型問題って何?

北海道公立高校入試において、思考型問題とは、中学受験問題ということが今年の問題で完全に明らかになりました。

例えば、2⃣のストローの本数問題、5⃣問1の図形を転がす問題、問2立体の切断問題、

これらは中学受験をする小学6年生が必死に勉強している分野です。

中学の授業ではそこまで詳しくやるところではないので、数学を単なる知識だと考えていると、本番で対処できません。

逆に言うと、一般の受験生は知識がないところなので本番で考えなければならないのです。

つまり思考力を問うことができるのです。

とは言え、限られた時間でこれらの思考型問題をゼロから考えて解くのは至難の業です。

対策としては、中学受験用の問題集を1冊だけやっておくことです。

例えば、文栄堂の「塾技100」などをやっておくとかなり自信になると思います。

それプラス、国立高専の過去問ですね。高専の問題は思考力が要求される問題ばかりです。

さて、さっそく問題を見て行こうと思います。


🔶🔶🔶🔶


1⃣ 次の問いに答えなさい。

 問1(1)~(3)の計算をしなさい。

 例年通りの単純な計算問題です。絶対に間違ってはいけないです。

難しい問題は解けなくても良いので、このような簡単な問題は絶対に落とさないでください。それだけで受かります。そのためには、最後の5分で見返しをすることです。 


 問2 yがxに反比例しているものを、次のア~エから1つ選びなさい。

  予想通り反比例が出題されました。学校ではしっかり勉強するところなのに、5年以上出題されていなかったので、過去問をやっている人は容易に出題予想して対策を立てていたでしょう。

反比例といったらY=a/x の公式が考えなくてもでなきゃいけないです。

Y=a/xの形になるものが反比例です。

ちなみに、入試問題の7割以上は普段の対策で考えなくてもできる問題です。

残りの3割くらいが考えなければ解けない問題です。

この問題のように考えなくてもできる問題で考えているようだと、制限時間内に終わることはできません。

ア、代金y=50xという形なのでこれは比例です(y=axですね)

イ、縦×横が面積なので

  xy=300㎠

  これを移行して 

  y=300/x になります。これはY=a/xの形で反比例です。

ウ、全体の重さy=x+100でこれは一次関数ですね(y=ax+bですね)

エ、円柱の体積y=5x²πなので二次関数ですね(y=ax²)


関数の勉強方法は、まず1年生の比例やったら、次は2年生の一次関数、そして3年生の二次関数を連続して学習することです。公式が異なるだけで考え方は全て同じです。1年生の比例が分からないなら小学6年の比の値をやります。比の値が分からないなら、小学校4年の割り算と小数をやることです。数学の勉強のコツはどんどん前に戻ることです。これが一番近道です。


 問3 下の図は、立方体の展開図を示したものです。この展開図を組み立てたとき、線分ABと平行で長さが等しくなる線分を展開図に書き入れなさい。


 はい、みなさんが苦手な展開図です。実は小学校で学ぶ問題です。思考型問題って小学校で習った問題と考えても大丈夫です。来年は投影図が出題されると思います。立面図と平面図を理解しておいてください。

空間図形の問題って、頭の中で考えることが出来る人もいれば、実際に図形を書いてみる人もいます。

これでも分からない人は、「展開図で平行な辺どうしは、見取図でも平行になる」という知識です。これは中学受験知識です。

この問題のように思考型が苦手な人は、中学受験問題を解いて、知識化しておくことです。要するに、思考型問題も知っている問題ならば、あまり考えなくても解けますよね。


 問4 下の図のような関数y=3xのグラフに平行で、点(0.2)を通る直線の式を求めなさい。

 まずは、問題文に無駄な情報はないということを知ってください。言い方を帰ると、問題文に意味のない情報はない、つまりすべての文に意味があるということです。これは当たり前のことなんですが、分かっていない人が多いです。「これにはどういう意味があるのだろう」というスタンスで問題文を読みます。勉強が進むと、その文章の意味がピンと来るようになります。

例えば、この問題には「平行」とあるので、「あっ傾きが同じということね」とピンとこなければなりません。これは初級のピンです。これでピンとこない人は勉強が全く足りていません。学校ワークをしっかりやってください。学校ワークに載っています。

平行で傾きが同じなので、y=3xまでは同じです。

このグラフが原点を通るので、このグラフに平行ということは、原点を通らないグラフとなるので

y=3x+b のグラフとなります。一次関数ですね。

この式に点(0.2)を代入するだけです。そうすれば、b=2となるので、

y=3x+2 が答えとなります。


 問5 連立方程式 ①2x+y=11  ②y=3x+1 を解きなさい。

  あまりにもシンプルすぎて、解説するまでもないです。②を①に代入するだけです。絶対に落としてはいけません。落としたら不合格です。皆が解ける問題は絶対にとること、計算ミスがないように見直すこと、これだけ。皆が解けない難しい問題は間違ってもよいです。そのような問題では差がつきません。差がつくのはこのような簡単な問題を計算ミスで落とすかどうかです。難しい問題以前に勝負はついているのです。難しい問題が解けるから上位の高校に行けるのではないのです。上位の高校に受かる人は計算ミスをしていません。というより、見直しでミスに気が付いて修正しています。この力です。

「見直す時間なんてないよ」と言う人いるでしょう。分かってます。そのような人に必要なことは、問題をパッと見て、「あ、これ無理っぽいな」と感じることがあるでしょう。そのような問題はすぐに飛ばして次にいくのです。自分の直感を信じてよいです。どんどん飛ばして次にいきましょう。ここで迷ってはいけない。時間の無駄。まずはできる問題を先に解くのです。できなそう、時間がかかりそうな問題はあとまわしです。これだけでかなりの時間短縮になります。そして試験終了10分前になったら、そこで終わり。残りの10分は見直しに全力を尽くしてください。かならず凡ミスがあります。それを見つけて修正してください。これで十分。


 問6 下の図のように、半径が9㎝、中心角が60度のおうぎ形OABがあります。このおうぎ形の弧ABの長さを求めなさい。ただし、円周率はπを用いなさい。

超定番問題。絶対に落としてはいけない問題。

円周の長さは2πr。

おうぎ形の弧は、2πr×x/360。

つまり、おうぎ形は円の一部だと考えるのです。さらにいうと、これは割合と比の問題なのです。このおうぎ形は60度なので360度の円の1/6の大きさと考えるのです。

つまり、これを円だとすると 2π×9で18πです。その1/6なので

18÷3で6π(㎝)が答えです。



2⃣ 次の問いに答えなさい。

問1 二次方程式x²+3x-1=0を解きなさい。

 絶対に落としてはいけない問題。落とす=不合格を決める問題です。

 解の公式をきちんと覚えているかそれだけ。

 -b±√b²ー4ac/2a

この公式は考えなくても出なければダメです。高校に行ってもこの公式は良く使うので、入試でも必ず出題されます。解の公式余裕だよという人はぜひ公式の導き方も確認してください。それで完成です。公式は覚えるのも大切ですが、まずは「なぜその公式になるのか」と考えることが大切です。公式の導き方を理解することが数学の力です。

 

問2 100円、50円、10円の3枚の硬貨を同時に投げるとき、表が出た効果の金額の合計が60円以上になる確率を次のように求めます。

ア~ウに当てはまる値をそれぞれ書きなさい。

解答

 3枚の硬貨の出かたは全部で ア 通りあり、

 表が出た硬貨の金額の合計が60円以上になる出かたは イ 通りである。

 したがって、求める確率は ウ となる。


これは樹形図をきちんと書いてみることです。

こんな感じで。「お」は表、「う」は裏

樹形図の書き方が分からないよ、という人は学校ワークの確率のところを復習してください。それでコツが分かります。

図形問題もそうですが、数学は書いて、見て考えることがpointです。頭の中でぼんやり考えてみてもダメです。それでは何も出てこないです。



 問3 下の票は、A中学校の3年生男子80人の立幅とびの記録を度数分布表にまとめたものです。度数が最も多い階級の相対度数を求めなさい。


 はい、過去問そのまんまの問題。過去問をやっている人は、またか、と思ったでしょう。北海道入試ってほんとにシンプルなんですよ。過去問そのまんまで来るので必ず過去問を何度もやってくださいね。少なくとも5年分は。

pointは相対度数は、分数ではなく、小数で答えるということ。

度数が多いのは210~の階級で20ですね。

だから20÷80=0.25です。

これを分数で1/4と答えてはいけません。


 問4 下の図の四角形ABCDにおいて、❶点Bと点Dが重なるように折ったときにできる折り目の線と、❷辺AB、(CD)との交点をそれぞれP(Q)とします。2点PQを定規とコンパスを使って作図しなさい。ただし、点を示す記号PQを書き入れ、作図に用いた線は消さないこと。

 はい、毎年出題される作図です。毎年必ず出るので絶対に落としてはいけません。

そして出題されるのは角の二等分線か垂直二等分線だけ。この二つだけです。

本問を見ると



問題文の❶でBとDが重なる、と書いてあるのでBとDを直線で結んでください。図の青線のやつです。まずはこれが出来るかで勝負が決まります。これがピンとこなかった人は学校ワークの作図の分野の問題を解いてください。

次に❷で折ったときにできる折り目の線とAB BCとの交点が問題になっているので、❶の線の垂直二等分線を書きます。これが折り目の線となります。オレンジの線です。そしてこのオレンジとAB  BCの交点が答えです。

結局、垂直二等分線を書けるかというのが出題者の意図なのですが、前提として❶の青線に気付けないと話になりません。これは作図の勉強不足と読解力不足です。数学も問題文の意味を読み取るという点で読解力が必要なのです。



3⃣ 次の問いに答えなさい。

     この年の問題はコロナの影響で出題範囲が狭まり知識が問えないこともあり、思考型問題に振り切った感がありますね。パッと見、ストローが並んでいてやったことがない問題のような気がすると思いますが、実は単なる文字と式の問題。レベル的には容易。もしパニクッたら最後に後回ししてください。


 問1 太郎さんたちは、次の問題について考えています。

   図1のように、同じ長さのストローを並べて、五角形をn個つくるのに必要なストローの本数を、nを用いた式で表しなさい。

   pointは、nが何を表すのか確実に理解することです。nとは五角形の数です。まずはこれを頭に叩き込むことです。

   太郎さんはこの問題の考え方について、先生に確認しています。❶ア~ウに当てはまる数を、❷エに当てはまる式を、それぞれ書きなさい。1

   pointは、ア~ウは数、エは式ということ、つまり問題文にきちんと従うこと。


ⅰ 太郎さん:図1を使って、ストローの本数を数えると、五角形をn個つくるのに必要な      個数は5本です。

また、五角形を2個つくるのに必要なストローの本数は、ア 9本(きちんと数えること)

五角形を3個つくるのに必要なストローの本数は、イ 13本です(きちんと数えること)。


ⅱ 先生:そうですね。五角形が1個増えると、ストローの本数はどのように増えるのでしょうか。

太郎さん:図2のように、ストローを囲むと1つの囲みにストローが, ウ 4本ずつあるので、五角形が1個増えると、ストローの本数は4本増えます(ここもきちんと数えるだけ)。


ⅲ 先生:そうですね。では、五角形をn個つくるのに必要なストローの本数を、nを使って表してみましょう(nとは五角形の数です)。

太郎さん:図2と同じように考えて、ストローを囲むと、図3のようになります。

囲みの個数は、nを使って、エ n-1個と表すことができるので…

☞pointは、あくまでも囲みの個数ということです。例えば、図3のように五角形が5個だとすると囲みの数は5個じゃなくて4個ですよね。囲みの数は五角形の数より1個少ないのです。

だから五角形の数n個から1個マイナスしなければならないのです。

では問題に戻ります。

囲みの個数は、nを使って、エ n-1個と表すことができるので、五角形をn個つくるのに必要なストローの本数を表す式は、5+4(n-1)となります。


 ☞pointは最初の1個目の囲みのない5個を忘れずにということです。


 問2 図4は、2つの合同な正六角形を、1辺が重なるように並べて1つの図形にしたものです。❶図5のように、同じ長さのストローを並べて、図4の図形をn個つくるのに必要なストローの本数を、nを用いた式で表しなさい。

また、❷その考え方を説明しなさい。説明においては、図や表、式などを用いてもよい


pointは、問1と同じように考えることです。この問題に限らず、問2は問1を前提にしているので、同じ思考でのぞんでください。

ちなみに、❷の出題形式、ついに来ましたね。君たちの数学の考え方を知りたいのです。来年の問題から、この形式が増えます。配点が100点となり、時間も5分長くなります。それはこの問題のような説明問題が増えるからです。


さて説明します。

 問1と同じように考えて、図4の図形を1個つくるのに必要なストローの本数は11本

2個つくるのに必要な本数は19本(8本増えてる)

3個つくるのに必要な本数は27本(8本増えてる)

そして問1と同じように考えて囲みの部分は8個です。

また問1と同じように、囲みの数は、図形のn個マイナス1個です。

とすれば、8(n-1)+11 がストローの本数となります。

+11というのは、最初の1個目の図形のストローの本数です。

これを展開して、8n+3 となります。、

この問題の配点は3点です。60点満点の3点なのでデカいです(来年の100点満点なら5点ということです)。つまり合否を決する問題です。

上位校合格の人は確実にとる問題です。逆に、不合格だった人は落とした人が多いと思われます。

ちなみにこの問題、式が間違っていたとしても、説明が論理的に正しいなら部分点がきます。だから白紙にしてはいけません。考えたことを途中まででも良いので書きましょう。これは図形の証明問題でも同じです。


4⃣ 下の図のように、関数y=ax²(aは正の定数)…① のグラフがあります。点Oは原点とします。次の問いに答えなさい。


 問1 a=4とします。①のグラフとx軸について対称なグラフを表す関数の式を求めなさい。

 忘れずにいっておくと、この問1と問2は簡単なので確実にとってください。落とすと一気に不合格が現実となります。問3は落としてもそれほど痛くないです。

a=4 なので ①のグラフの式は y=4x²となります。このグラフとx軸について対称なグラフを考えろということです。x軸について対称の意味をきちんと理解していることが前提です。x軸が対称の軸となっているということ。もっというと、x軸で折り曲げたグラフのことです。とすると、このグラフは同じ形のまま下向きになりますよね。

よって、y=4x²に-をつけてy=-4x²が答えです。


 問2 ①について、xの変域が ‐2≦x≦3 のとき、yの変域が 0≦y≦18となります。このときaの値を求めなさい。


pointは、変域の意味を理解していること、二次関数では、原点が頂点になることです。

xが-2のとき、yの変域は0だけど、値はy=ax²にー2を代入してy=4aとなります。

これではaの値が求められないので

xが3のときyはそのままで18となるので、これをy=ax²に代入します。

そうすると 18=9a となり

a=2となります。


 問3 ⅰ a=1とします。

ⅱ ①のグラフ上に2点ABを、点Aのx座標を2、点Bのx座標を3となるようにとります。

ⅲ y軸上に点Cをとります。

ⅳ 線分ACと線分BCの長さの和が最も小さくなるとき

点Cの座標を求めなさい。

pointは、問題を正確に理解することです。そのために一文一文を分けてきちんと考えることです。この分けることを分析と言います。


まずⅰ a=1なのでグラフは、y=x²となります。

次にⅱより、それぞれx座標が分かるので、これをⅰのy=x²に代入してy座標をだします。

A(2.4)

B(3.9) となりますね。


次にⅲは、下の図グラフを見て


 まず、Bとy軸について対称な点をDとします。とするとB(ー3.9)となる。

  y軸は線分BDの垂直二等分線になるから、y軸上にある点Cを見ると

線分BCと線分CDは長さが等しいですね。

とすると、線分ACと線分BCの長さの和が最も小さくなるのは

ACDが一直線上にあるときになります。

そこで直線ACDの式を求めます。

これは、一次関数のグラフになるから y=ax+bです。

これに A(2.4) D(ー3.9)を代入して連立方程式を解くと

a=ー1 b=6となるので、このグラフは

y=ーx+6となります。

点Cはこのグラフの切片なので(0.6)となります。


さて、みなさんはめんどくせー問題と感じたでしょう。しかし、レベル的にはそれほど難しくありません。他の簡単な問題でミスがなければこの問題は落としても痛くないです。しかし、他の簡単な問題で落とした人はこの問題を落としたら致命傷になります。どうすれば良いかというと、簡単な問題は必ず見返して凡ミスを発見して修正するということです。


5⃣ 下の図のように、AD∦BCの台形ABCDがあり、対角線AC、BDの交点をEとします。

次の問いに答えなさい。


図形の問題に苦手意識を持っている人も少なくないと思いますが、見た目でだまされないように。今回はとても簡単な問題でした。


問1 ❶CD=CE、❷∠ACD=30度のとき、∠BECの大きさを求めなさい。

 問題文に書いてあることは全て意味があります。問題文には❶❷の番号はないのですが、分かりやすいように付けました。ここで少なくとも二つの情報があり、さらに問題文には

AD∦BCと対角線についての情報があります。わざわざ問題文に書いてあるので全部使うと思ってください。情報量の多さに、うわっと思うでしょうが、図に書き込めばなんでもないですよ。

 ❶CD=CEなので△CDEは二等辺三角形になります。これはすぐにピンとこなければなりません。二等辺三角形なので、底角は等しい。これもすぐに出てこなければなりません。

❷∠ACD=30度なので底角の∠CDEと∠CEDは75度になりますね。

ここまでくれば ∠BECの大きさは簡単に出ますね。

180度ー∠CED(75度)で出しても良いし、数学出来る人なら

三角形の内角と外角の関係の公式を使ってもよいです。

つまり、△CDEの外角である∠BECの大きさは、∠DCE(30度)+∠CDE(75度)

です。こっちの方が、スマートでよいですね。証明でも「三角形の内角と外角の関係より…」と使えば、数学を理解していることが、伝わります。



問2 線分BE上に点Fを❶BF=DEとなるようにとります。❷点Fを通り、対角線ACに平行な直線と❸辺AB、(BC)との交点をそれぞれG(H)とします。

このときAD=HBを証明しなさい。

やはり、情報が多いのでこのように番号をつけて情報を明らかにします。そしてこれを図に書き込みます。書き込まないと見えてこないからです。


まずはこのように問題文の情報を色で分けたり、書き込んだりします。蛍光ペンや色鉛筆を持ち込んでもOKです(一応確認してくださいね)。色で分けると考え方が目で見て分かるようになるのです。頭の中でぼんやり考えても何も分からないので注意。


そしてAD=HBを証明しろ、とのことなんですが、これは辺ADと辺HBを一辺にもつ三角形の合同を証明するパターンが多いです。合同な三角形だから、対応する辺は等しい、よって

AD=HBということです。

本問では△ADEと△HBFの合同の証明になりますね。

三角形の合同ときたら、皆さんが覚えた合同条件のどれを使えるか考えるのです。

とりあえず先に進みましょう。

 

ⅰ まずは過程より❶BF=DEですね。時間がなかったり、全く分からない場合でも、これは書けますね。問題文にある情報をうつすだけですから。絶対に書きましょう。部分点が来るからです。皆さんの実力って大して変わらないので、この部分点をとれるかで勝負が決まるのです(あと計算ミスがないか)。


ⅱ つぎに、過程よりAD∦BC。これは問題文の最初に書いてありますね。

  平行なときは錯角は等しいので、∠FBH=∠EDAです。

 ちなみに、証明問題は、「~なので」と理由を書きますが、これが重要です。根拠というものです。これに点数が入るのです。「平行なときは錯角は等しいので」という部分です。


ⅲ 対頂角は等しいので ∠BEC=∠AED

  過程よりAC∦GHであり、同位角は等しいので ∠BEC=∠BFH

  したがって ∠BFH=∠AED


ⅳ 以上より、一辺とその両端の角がそれぞれ等しいので

  △HBFと△ADEは合同。ここで終わってはいけない。

  合同な三角形の対応する辺は等しいので ☜これ必須

  AD=HBである。


 これは証明の典型的なパターンです。この手法を理解したら、流れを暗記してください。

 他の証明問題でも使えます。


 ~学校裁量問題~

  

5⃣ 次の問いに答えなさい。

 問1 次の(1)(2)に答えなさい。

(1)図1のあのように、直線ℓ上に、半径2㎝、中心角120度、のおうぎ形PQRがあります。おうぎ形PQRに、次の❶ ~❸の操作を順に行うことによって、点Pがえがく線の長さを求めなさい。ただし、円周率はπを用いなさい。

 ❶あ、からいまで、点Qを中心として時計回りに90度回転させる。

 ❷い、からうまで、弧QRと直線ℓが接するように、すべることなく転がす。

 ❸う、からえまで、点Rを中心として時計回りに90度回転させる。


回転体の問題です。中学受験をする小学生は必ず勉強する分野です。中学生も1年生のときに回転移動で学ぶところです。この問題は頭の中でぼんやり考えていても答えはでません。手もとにコンパスがあるので実際に描いてみることです。すると点Pが描く線は⇩の赤色のようになります。


ほら、見えるでしょう。

ⅰ まず、あとえの部分は半径2㎝で90度のおうぎ形の弧となります。

おうぎ形二つ分の弧の長さということです。

弧の長さの公式は 2πr×角度/360度ですね。

よって、(2π2×90/360)×2=4π㎝。

ⅱ 次にいとうの部分。ここは弧QRが直線ℓ上を転がった長さに等しいので、弧QRと同じ長さです。

よって、2π2×120/360=4/3π㎝。

ⅲ 最後にⅰとⅱを足します。

 4π㎝+4/3π㎝=10/3π㎝ となります。答えが分数なので本当にあっているか不安になりますが、これでOKです。



(2) 図2のように、正三角形ABCの頂点ABCをそれぞれ中心とし、1辺の長さを半径とする円の弧BC、弧CA、弧AB

で囲まれた図形をFとします。

 図3の、あのように、直線ℓ上に図形Fがあり、線分BCと直線ℓは垂直とします。図形Fに、次の

1~6の操作を順に行うことによって、図形Fが、あ~いまで動いてできる図形に色を付けて表した図として、最も適当なものをア~オから1つ選びなさい。

さて、情報がたくさんある上に、また転がす問題です。しかし今度はア~オの選択肢から1つを選択するものであり、少しは楽。1/5の確率です。もっとも配点は4点もあります。証明問題ですら5点です。解答方法は簡単だけど、情報が多く、理解するのに時間かかるし、難しいといえるので配点が高いのでしょう。配点が高いということは、出題者が重要視しているということです。おそらく正答率は低かったと思うので、来年も似たような問題が出題されると思います。中学受験用問題集の図形をやっておくと即、使えますよ!

操作が6個もあり、メンドウな感じがしますよね。でも、じっくり読んでみると、3~6は1と2の繰り返しにすぎない。規則性の問題ともいえるかも。要するに1と2だけ分かれば良いのです。

単純化すると、これって、半径BCの円が直線ℓに沿って転がっているだけ。紫色が進行方向です。

ひとつ謝りたいことがあります。

じつは中学受験をクリアしている人はこの問題定番なんです。一瞬で答えが分かります。なぜなら

おうぎ形の弧の部分が直線ℓを転がるとき、中心Cが動いてできる部分は転がる直線ℓと平行となる」という公式があるからです。いちいち頭で考えなくても出来る問題なのです。

イメージでいうと、「ア~オの選択肢から解の公式を選べ」というレベルの問題なのです。

皆さん、必ず中学受験の問題集をやってくださいね!数学だけじゃなく、国語、理科、社会の中学受験問題集もかなり使えますよ!


問2 図1のように、1辺がa㎝の立方体ABCD-EFGHがあります。

 次の(1)~(3)に答えなさい。

 (1)図2は、図1の立方体で、a=4としたものです。立方体を3点ACGを通る平面で切ります。頂点Fを含む立体の体積を求めなさい。

切断面はこのようになります。すみません。この問題も中学受験性にとっては鉄板問題で簡単なのです。Fを含む体積というのは、立方体を上のように切断した手前側です。

要するに、この立方体の体積を2で割ればよいのです。

ですので、(4×4×4)÷2=32㎤

単純です。


 (2)図1の立方体を3点BEGを通る平面で切ります。頂点Fをふくむ立体の体積は、図1の立方体の体積の何倍ですか。求めなさい。

これは簡単ですね。

まず、頂点Fを含む立体は、三角錐です。

よって、その体積は、1/3{a(a×a÷1/2)}=1/6a³㎤です。

これに対して図1の立方体の体積は、a×a×a=a³㎤です。

よって、頂点Fのほうは、図1の1/6倍ですね。


ちなみに、切断面の問題が苦手は人は中学受験の問題集で確認しておきましょう。もう出ないよと思うかもしれませんが、北海道の入試では図形の切断は頻出なんですよね。また出ます。


(3)図3は、図1の立方体で、a=10としたものです。点PQはそれぞれ頂点ABを同時に出発し、四角形ABCDの辺上を、Pは毎秒1㎝の速さでBを通ってCまで、Qは毎秒2㎝の速さでCDAを通ってBまで移動します。2直線PQとEGが同じ平面上にある直線となるのは、点PQがそれぞれ頂点ABを同時に出発してから、何秒後と何秒後ですか、求めなさい。


図形上の点の運動の問題。またしても、中学受験では必須の内容。北海道公立高校入試でも頻出ですね。

pointは、「2直線PQとEGが同じ平面上にある直線となる」ことの意味です。要するに

PQとEGが平行になるのは、いつですか、ということ。これは、直線や平面の位置関係という単元で学んだことですね。ねじれの位置とか交わるとかのあれですね。


さて、さっそく見ていきましょう。

まずPは毎秒1㎝でCまで行きますので20秒ですね(AからCまでは20㎝だから)。

Qは毎秒2㎝で1周するのでこれも20秒です(1周40㎝だから)

これを前提にいくと

PQとEGが平行になるのは2パターンあります。

まずはPが辺AB上にあり、Qが辺BC上にある場合です。

図から見て分かるように、PQとEGが平行になるのは三角形BPQが二等辺三角形になる場合です。つまりBP=BQ場合です。

BPの長さは10ーxですね

BQの長さは2xですね。

10ーx=2x ならば二等辺三角形となるのです。

これをxについて解くと、10/3(秒)となります。


次は逆にPが辺BC上にあり、Qが辺AB上にあるパターンです。




 次にBPの長さは、x-10(点Pはxだけ進んでおり、BA間の10を引けばBPになる)。

BQは40ー2x(正方形の周の長さは40。そこからQの進んだ2xを引けばBQになる)

よって、x-10=40ー2x。

これを解くとx=50/3(秒)


以上です。ぶっちゃけ、中学受験をする小学6年生でも解ける問題がかなりあったのですが、図形問題になれていない人にとってはとても難しかったと思います。

来年以降もこのような頭を使う問題が出題されるでしょう。

普段の学習で使用している学校ワークに中学受験問題集を加えると大丈夫です。


ちなみに、中学受験でも必須のストローの本数の問題と最後の図形の切断の問題だけで28点です。60点満点中で28点。つまり約半分は思考型問題といえます。数学の謎解き問題が好きな人にとっては天国です。これに対して、数学は計算問題しかできないという人にとっては地獄です。数学は謎解きを楽しむものというスタートに戻りましょう。








2022 北海道公立高校入試分析チーム

分析を通じて来年の試験を予測 まずは北海道公立高校入試問題 次は国立高等専門学校(こうせん) オンライン家庭教師 北海道大学大学院法学研究科卒

0コメント

  • 1000 / 1000